今日の1冊は、図解本です。
『誰でもデキる人に見える 図解de仕事術』
多部田 憲彦、アスカビジネス
▼図解本の鍵は「R」
この本を手にした理由はシンプルでした。
それは、日産の「改善は図解で!」を見てみたかったからです。
著者は、タイ工場で、図解で言語の壁を越えたコミュニケーションを実施し、
数々の改善で実績あげてきた人物。その図解がどんなものなのか。興味を
もったからです。
前職でのタイ工場や日産の仕事の現場での
実際の活用シーンは出てきませんが、
そのエッセンスは目にすることができます。
世の中には図解本はたくさんあります。
私が図解本に求めることがたった1つです。
それが「R:リアリティ」です。どこで使われていた図解なのか。
という一点です。
つまり、実際の企業の現場で使われているかどうかが大事です。
その点、この本には、あのゴーン改革のお膝元に日産で、
そして、著者の前職時代、タイ工場で実践された図解を
ベースにしています。
▼トヨタの「紙1枚」!日産の「図解」!?
トヨタの「改善は紙1枚で!」というのは有名ですが、日産については
トヨタの「改善は紙1枚で!」というのは有名ですが、日産については
「ゴーン改革」とう言葉に代表されるように大がかりな仕掛けばかりが
クローズアップされ、日々、現場で実践される「改善」がどのようなか
たちで実現されているのかが見えてきません。
本書の中で、著者の前職でのタイ工場での実践や日産の現場で、
「改善は図解で!」ということがどのようなかたちですすめられているかの
具体的な事例はほぼ出てきませんが、そのエッセンス(つまり、著者が使って
いる図解のフォーマット)は見ることができます。
▼ニューヨークでも「図解」は効く
図解本デビューの方、初心者の方には、最初の1冊としていいでしょう。
1時間で読めて、すぐ使えます。改善の玄人の方や図解本を何冊も読まれて
いる方は、一度書店でチェックしてみるといいかもしれません。
この本を読み終えたとき、ふと脳裏に浮かんだひとつの記憶があります。
それは、外資系投資顧問会社に勤務する知人のひと言でした。
「ニューヨークでも、図解は効く」
彼女はニューヨークで、投資先の社長との面談でよく図解を使い英語でコミュ
ニケーションをしたそうです。MBAをもつ彼女。英語に不安はありません。
でも、コミュニケーションの質とスピードという点では、「図解は効く」という
のが彼女のたどりついた結論です。
グローバル化する企業の中で、「社員の英語の壁をなんとかしなければ」という
ところにフォーカスをあてている企業はたくさんありすが、「まずは図解で英語
コミュニケーション」というところからスタートしている企業は少ないような気が
しています。
コミュニケーションは、時間をかけてスキルを鍛えるのも大事ですが、まずは手軽に
使える道具でひとまず相手と対話をスタートする。その際、図解は「効く」道具です。
図解は苦手・・・。と避けてきた方は、これからのビジネスのひとつの武器として
図解という道具を手に入れてみてはどうでしょうか。